今回はガラッと雰囲気を変えて「トイレで流されるうんちがどうなるのか?」をリサーチしてみました。毎日出るうんちを流して処理されてることに「すごい」と思い「どういう流れでうんちが処理されるのだろう?」と前から疑問に思っていました。
結論から言うと僕たちトイレで流すうんちやおしっこ君は、汚泥や水に戻って再利用されているのです。この記事ではうんちの処理や再生の流れをお知らせします。
下水に流されるうんち
水洗トイレのレバーを回すとうんちは勢いよく下水道にながされます。(いつも全部きれいに流れて良かったと感謝しています。)
「下水道管の中でどれくらいのスピードで水が流れているのか?」不思議に思っていました。実際に下水の速さはだいたい人の歩く速さと同じ時速4キロメートルだそうです。これより遅すぎると下水道管が詰まってしまい、速すぎると下水道管が損傷したり傷ついたりするようです。
でも下水道管の中のスピードが調整されてるなんて知りませんでした。4キロ位のスピードがちょうどよいのですね。たしかに詰まってしまうと大変なことになります。
下水処理場で処理されるうんち
うんちを含んだ下水は下水道管を経由して下水処理場に到着する。
ここでは2工程あって水が再利用される工程と、汚泥が有効活用される工程に分かれます。
【水の再利用工程】
下水処理場では1「沈砂池(ちんさち)」→2「最初沈殿池(さいしょちんでんち)」→3「反応タンク」→4「最終沈殿池」→5「消毒槽」→と順番に移動して水質が再利用されるよう変わっていきます。
下水処理施設です。
汚い水をきれいに処理して
海にもどします。#仙塩浄化センター#下水 #下水処理 pic.twitter.com/CFiyAbQfYt— sanko hironzai (@sanko_hironzai) February 21, 2020
1沈砂池(ちんさち)—沈砂池とは下水の中野浮遊物や個体やゴミを取り除くために人工池です。鉄筋コンクリートでつくられ砂やゴミが堆積しやすいよう長方形のことが多いようです。
2最初沈殿池(さいしょちんでんち)—最初に細かい汚れを底に落とし沈めるための池です。広めの池でゆっくり下水を流しで、沈みやすくなった浮遊物が底に沈んで溜まります。
沈砂池で大きめのゴミを沈ませた後、この最初沈殿池で汚水のゴミや汚れを除く工程になります。
3反応タンク(エアレーションタンク)—-最初沈殿池を通過した下水に、微生物が多く入っている泥を加えると微生物の働きが活発になります。
微生物が元気に活動出来るように、空気が6~8時間送られます。
微生物は下水中の有機物(汚物含む)を食べて微生物の繁殖が活発になり、ゴミや汚れは分解され汚れた水もキレイになっていきます。
微生物にはクマムシ(マクロビオツス)、ベラネマ(べんもう)、イタチムシ(シャトノータス)、カルケシウム、ユーグリファ、アメーバ等が含まれます。
中でもクマムシは乾燥しても死なずに給水すると復活する。さらに超低温や超真空や超高圧の極限状況にも耐性があるため「地上最強生物」とも言われています。
顕微鏡で800倍~1000倍にしてやっとその姿を確認できる「微生物」。彼らが下水の汚れを食べてきれいにしてくれるなんて驚きと感謝の気持ちしかありません。写真で設備を見るとキレイです。
4最終沈殿池—反応タンクで沈みやすくなった汚泥は「最終沈殿池」で沈められて処理水と分離されます。
5 消毒槽—最終沈殿池の処理水は、ここで次亜塩素酸ナトリウムと混ぜられ大腸菌等を殺菌します。その後川や海に放流されます。
津守下水処理場1系水処理施設が「土木学会 選奨土木遺産」に認定されました!
下水処理場として「土木学会 選奨土木遺産」に認定されたのは全国で初めてとなります!
【詳細について(大阪市HP)】 https://t.co/BTjLrRcevf pic.twitter.com/pdCzn23vPP— 大阪市建設局下水道部 (@gesuidou_osaka) October 21, 2021
【汚泥が有効活用される工程】
1 濃縮--処理水の工程にある「最初沈殿池」「反応槽」「最終沈殿池」で出てきた汚泥をいろいろな装置で水分を減らして濃縮します。
2 脱水–濃縮された汚泥からさらに水分を除いて「脱水ケーキ」にする工程です。
汚泥をぐるぐる回転させて水分を飛ばして半固形状態になるまで行います。
3 乾燥–脱水した汚泥から一層水分を除いて乾燥した汚泥となります。含水率は50%となり肥料、バイオマス燃料等に利用できるようになります。
4 焼却—汚泥を焼却したり、容量を減らす工程となります。焼却灰はエネルギー利用とマテリアル利用に活用されます。
エネルギー利用(ガス発電や天然ガスの燃料、石炭代替燃料、排熱発電など)
マテリアル利用(レンガやコンクリート資材、肥料など)
「濃縮」「脱水」「乾燥」「焼却」と時間をかけて何度も水分を除くことで、汚泥が再生材料に生まれ変わるなんてこれもびっくりしました。
下水処理場での臭い対策
うんちが臭い理由は「イントール」「スカトール」「メルカプタン」と呼ばれる物質のせいです。これらはタンパク質が悪玉菌によって分解されるときに出る物質です。
下水処理場では沈殿池や反応タンクは樹脂製のふたをして悪臭が漏れないようにしています。汚泥処理で発生するにおいには、大量の脱臭剤や活性炭を利用しています。
まとめ
今回はトイレから「どのようにうんちが処理されるのか」に関してまとめてみました。下水処理場で下水と汚泥が微生物等の働きにより、また使える水や、燃料、肥料に再生されるしくみは「感謝」の気持ちしかありませんし素晴らしいと思います。
またクマムシはじめ微生物は目には見えませんが、そのパワーには驚かされました。乾燥した後も水さえ加えれば再生するというのは「地上最強生物」というのも素直に納得してしまいました。