韓国軍は「北朝鮮が5月28日夜からごみや汚物の入った汚物風船を大量に飛ばした」ことを発表しました。
この記事では「汚物風船事件の概要」「汚物風船の目的は何か?」「汚物風船とは何?その中身とは」「韓国と北朝鮮の風船騒動」についてまとめてみました
汚物風船事件の概要
【騒動】“汚物風船”再び韓国に飛来、軍などが警戒呼びかけhttps://t.co/S9pR2yohbn
韓国では4月28日~29日夕方にかけても、北朝鮮が飛ばした汚物入りの風船260個余りが全国に飛来した。ソウル市も住民へ「屋外活動を自粛し不審物を発見しても触らず通報を」と警戒を呼びかけている。 pic.twitter.com/rUcKhtn5BB
— ライブドアニュース (@livedoornews) June 2, 2024
日時:2024年5月28日に韓国軍が確認
数量:260個確認とあるが通報は299件
発見された場所:境界線に近い「京畿道」「江原道」等8カ所(ソウル西部や国会議事堂のあるエリア含む)
回収:軍の爆発物処理班と生物兵器対応チームが出動して対応
誠意の贈り物とは? 金正恩氏の妹の金与正氏が「汚物風船」のことをそう呼んでいました。
その他:汚物風船は大半が地面に落ちたようです。なお事前に北朝鮮より「(韓国から北朝鮮への)ビラ等の散布に対して報復措置をとる」と予告していたようです。
※<追加ニュース>
6月1日夜~2日にかけ、ソウル等で約700個の「汚物風船」が確認されました(合計約1000個)。これを受け韓国は対抗措置として、南北軍事境界線付近で「拡声器宣伝(韓国の暮らし向きの良い生活を伝え、北朝鮮体勢を批判する内容)」の再開を検討していると報じられました。
汚物風船の目的は何か?
北朝鮮の「汚物風船」 ソウルの日本大使館にも落下
🤔 北朝鮮が韓国に向けてゴミなどをくくりつけた「#汚物風船」を大量に飛ばしたとされる騒動で、ソウルの #日本大使館 が入居するビルの屋上にも、風船が落下していたことが明らかになった。共同通信が30日、大使館関係者の話として伝えた。… https://t.co/NcMPv3M2OQ pic.twitter.com/6BeMg2JVjP
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) May 30, 2024
北朝鮮の主要な目的は「韓国の団体が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記や体勢を批判するビラを風船で北朝鮮に飛ばしたことに対して報復措置をとるため」だったようです。
韓国政府は「北朝鮮批判のビラをまくことは犯罪行為」としていますが、北朝鮮は「韓国政府の対応や具体的な規制を実施していない」ことにほとんど満足していません。つまり韓国政府に対する不満の意を表明している側面もあるでしょう。
さらには「汚物風船」を飛ばすことで韓国の国民がどう反応するか?韓国政府がどの程度混乱するのか?
確認しているのかもしれません。
こうして考えると北朝鮮は軍事行動を起こすよりはるかに安いコストで、韓国を困らし嫌がらせをしながら様子をうかがっているのかもしれませんね。
汚物風船とは?その中身とは?
北朝鮮の「汚物風船」新たに600個 韓国政府非難「低レベルな行為」 https://t.co/PDme74GAM5
— テレ朝news (@tv_asahi_news) June 2, 2024
汚物とは法律用語としては「ごみ、汚泥、ふん尿、犬猫ネズミ等の死体」を言います。一般的には汚いものや糞尿を指します。
今回北朝鮮から飛ばされた「汚物風船」の中身は以下のものだったようです。
・使い古しの電気製品の部品
・使用済の電池
・家畜のふん、尿、便
・トイレットペーパー
・黒い土、肥料
・電線
「汚物」が空から降ってきたら嫌ですね。自分の近くに落下したら汚いし臭いでしょう。やる気も失せるでしょうし、片付ける場合も相当メンタルをやられると思います。
過去の韓国と北朝鮮の風船騒動とは?
両国とも相手国に対して風船を介してビラ(韓国→北朝鮮)や汚物(北朝鮮→韓国)を送るということが何年も続いているようです。
過去10年位を振り返ると、脱北者の団体が韓国側から北朝鮮に向け金正恩体制(2011年~)を批判するビラ等を大型風船に乗せて飛ばし、北朝鮮が報復対応する図式が見えてきます。
ビラには「正恩氏、妹の金与正(ヨジョン)等を民族等を殺戮者だ」などと指摘していることが多いようです。
そうすると当然北朝鮮は強く反発し対抗声明を出し、対抗措置をとることになります。
2016年には北朝鮮から韓国に大型風船で「トイレットペーパーやたばこの吸い殻等のごみ」が飛ばされています。
2020年6月には韓国から北朝鮮にビラ50万枚が撒かれています。韓国内では2020年12月に「ビラの散布は犯罪行為である」との法案が可決されています。(脱北者団体等はこの法案に反対しています。)
こうやって両国では大型風船を使ってのビラやゴミでの応戦が続いているようです。
ウクライナとロシアの戦闘では「ドローン攻撃」が報じられますが、朝鮮半島では「風船攻撃」が繰り広げられています。何ともコメントが難しい事態ですが「汚物風船」の飛行ルートのエリアの人々にとってはさぞ不安だったと思われます。
専門家のコメント
今回の汚物風船に対して専門家は「民間人にとっては不快な風船だが対抗することは難しい。ただしこの汚物風船によって北朝鮮と韓国が軍事的にエスカレートするリスクは少ないでしょう。」等と述べています。
「ただし風船に硫酸や塩酸等の化学物質(硫酸や塩酸等)や細菌(炭疽菌など人畜等の殺傷に使用される)が含まれていたら大きな被害になりうる。」と語っています。
実際「汚物風船」が飛んでいるエリアの住民の方々は「化学物質や有害な細菌が入っていないか?」不安に感じていたそうです。
家畜の糞尿が風船で運ばれているのも我慢できませんが、「化学物質が入っている」ことを想像すると心配や不安で気が気じゃないと思います。
まとめ
この記事では5月28日に韓国軍が確認した汚物風船に関する「事件の概要」「汚物風船の目的」「汚物風船の中身」「風船騒動の推移」「専門家のコメント」についてまとめてみました。
事態の収束は今も所見通せませんが、北朝鮮による「汚物風船」はソウルに今後も飛来するのでしょうか?とても気になりますね。